◆第106回 人文科学とコンピュータ研究会発表会†主査:
松村敦 会場情報† 日時 2015年5月16日(土) 入館は西口からお願いします。一般入口とは違いますのでご注意ください。 募集内容と締切† 募集内容 ・学生ポスターセッション 合計 6~8件 学生ポスターセッションの中で優秀な発表には、「奨励賞」が授与されます。 ・一般口頭発表 合計 4~5件 ・ショート:15~20分程度の持ち時間(質疑を含む) 申込方法†
参加費(聴講)†
詳しい情報は下記URLをご覧ください.
プログラム†
(01)Perfumeのダンスはなぜ難しいのか?ー多変量ヒルベルトーファン変換によるモーション解析 ○蔡 東生(筑波大学) ・董 然(筑波大学) ・浅井 信吉(会津大学) ヒルベルトーファン変換(Hilbert-Huang Transform:HHT)は、経験的モード分解により、 信号を複数の固有モード関数に分解し、ヒルベルト変換をかけ、時間周波数特性を分析す る。時間 周波数特性への鋭敏性は、フーリエ変換、ウエーブレット変換より遥かに鋭敏 で、本発表では、多変量HHTを用い、パヒューム、能楽、文楽などの動 作を、ワルツ、ヒ ップホップ、サルサなどの踊りと比較する。
(02)「ECONOトリビア」QWERTY記事顛末記 ○安岡 孝一(京都大学) 「パソコンのキーボードのキーの配列が不自然だと思ったことはありませんか」から始 まる読売新聞記事(2015年3月2日)に反論を試みた.記事 のごく一部は訂正されたものの, 反論の大部分は徒労に終わり,「連続して打つ頻度の高い文字を遠ざける並び方に変えた」 というガセネタが,再々流布される結果となった.このような局面において,人文情報学 に何ができるのか,問題提起と考察を試みる.
(03)日本型ダークツーリズムが直面する情報学的課題について ○井出 明(追手門学院大学) ヨーロッパで発達したツーリズムの新しいカテゴリーである”Dark Tourism(ダークツー リズム)”は、日本においても観光学の新しいトピックであると考えられてきた。しかし「 記憶の承継」を重視する日本型のダーク ツーリズムは、メメント・モリの概念やカタルシス の文化を有するヨーロッパとは異なるコンテクストで解釈されつつある。本報告では、日本 型ダーク ツーリズムの抱える問題が極めて情報学的なものであることを示すとともに、「記 憶の承継」が直面する課題について言及する。
(04)平安時代漢字字書総合データベースの拡張と和訓対応 ○劉 冠偉(北海道大学) ・李 媛(北海道大学) ・池田 証壽(北海道大学) 我々の研究室では、日本の平安時代(中古)に編纂された漢字字書である『篆隷万象名義』、 『新撰字鏡』、『類聚名義抄』を総合したデータベースを 構築している。中国撰述の『玉篇』 系字書のデータベースを独自に構築し、それを土台として、公開済みの『説文解字』や『広韻』 データをも参照し て、本文入力と校正を進めている。これらのデータは漢字データが中心であ り、和訓(日本語)のデータが未整備である。平安時代漢字字書の和訓の同 定の方法として、 室町時代(中世)、江戸時代(近世)、明治時代(近代)の漢和字書のデータを追加すれば、よ り効率的かつ正確に行うことができる と考えられる。中世は『和玉篇』、近世は『増続大広益 会玉篇大全』(毛利貞斎)、近代は『大字典』(上田萬年)を拡張の候補としている。今回、 『大字典』の和訓データ(品詞情報を含む)について一応の整理がついたので、その概要と平安 時代漢字字書総合データベースとの拡張と和訓対応につ いて報告する。
(05)洒落本を対象とした東西対照コーパスの設計と構築 ○北﨑 勇帆(東京大学大学院) 洒落本は,近世期に刊行された小説の一形態であり,近世日本語の口語資料としての有用性が高 い.この洒落本には,書名や話の粗筋を同一にしなが ら,江戸板・上方板で内容や語彙に異同の ある作品が存在する.上方で刊行されたものが後に江戸で改作された『月花余情』組と,江戸で刊 行されたも のが後に上方で刊行された『郭中奇譚』組である.本稿ではそのような江戸・上方間 で改作が行われた洒落本のテキストをTEI P5に準拠してマークアップすることにより,当時の東西 言語の比較資料として用いることができる対照コーパスを構築した. (06)ロシア語によるSNSからの情報の収集・分析に向けて ○世利 彰規(東京大学大学院) 本発表ではロシア語で書かれたソーシャルメディアを用いた言説分析の経過を報告する。SNSの中 でもツイッターを資料として用いる。まず先行する 電子化されたロシア語の言語資料について紹 介する。次にツイッターからデータを取得する上で使用したAPIやツールについて説明する。さらに ロシア語を分析する上での, ロシア語の文法に関わる固有の問題について述べる。最終的に「日本」 というキーワードで検索して取得したツイートを数量や共起頻度などの角度から分析し, ツイッター を使用するロシア人がもっている日本についてのイメージを取り出すことを目指す。 (07)19世紀イギリス政府文書における財政・統計関連史料のマークアップ例提示 ○小風 尚樹(東京大学大学院) 近年、人文学研究のための資史料について、Text Encoding Initiative (TEI)に準拠した形式での マークアップ手法の議論が蓄積してきている。本報告では、2013年に公表された、Kathryn Tomasek, Syd Baumanによる財務記録史料(Historical Financial Records) のマークアップ手法についての提 案を検討するとともに、報告者の研究領域に関する19世紀のイギリス政府文書史料について、財政の 流れや統計に関するもの をピックアップし、それらをマークアップすることで、この手法の妥当性や 応用可能性の一端を明らかにしたい。該当史料を保管する英国国立公文書館 では、手稿史料のマーク アップとデジタル公開が始まっているものの、その進捗は全体の5%に留まっている。今後の大規模な マークアップ事業の進展 に際し、その手法をめぐる議論に貢献するための試論としたい。 (08)OpenCVを利用した活字画像の切り出し ―大正新脩大藏經『一切経音義』の活字字形研究に向けて― ○王 一凡(東京大学大学院) 画像処理ライブラリOpenCVを用い、SATが公開する『大正新脩大藏經』画像のうち「一切経音義」部 分に含まれる、最大3種類の異なる号数の 活字で印刷されたページから、活字を自動で切り出し、デ ータベース上のテキストデータと対応づける。また、切り出した画像と他の画像との類似度比 較によ るテキストデータベースの整合性チェックへの応用を試みる。 (09)原資料の構造を反映したデジタルアーカイブの構築 ○田中 僚(筑波大学大学院) ・松村 敦(筑波大学) ・宇陀 則彦(筑波大学) 近年,様々なデジタルアーカイブが増加している.しかしながら,ほとんどのデジタルアーカイブは 利用者が原資料の構造を理解できるように構築され ていない.利用者はフォンド,サブフォンド,シ リーズ,ファイルを個別ではなく文脈の中でとらえることではじめて,原資料の構造を理解する.本研 究では原資料の構造を反映したデジタルアーカイブを構築し,資料ページへのアクセスを制限した.こ れにより,利用者は構造の順にのみアクセスする ことになる.その結果,利用者は原資料の構造を文 脈として理解することが可能になった.
(10)NDLラボの取り組みとデジタルヒューマニティーズ ○川島 隆徳(国立国会図書館) ・丹治 美玲(国立国会図書館) 国立国会図書館では,2013年からNDLラボという事業に取り組んでいる.この事業では,外部機関との 協力により新しい図書館サービスを実証実 験することを目的としており,いくつかの実験的システムが 稼働している.このような「ラボ」事業は,海外でも事例が増えてきているが,その中には デジタルヒ ューマニティーズと関わりが深いものも多い.本稿では,NDLラボ事業の内容と提供可能なデータ,デジ タルヒューマニティーズ分野との 更なる連携の可能性について述べる.
(11)モバイルで読む近代デジタルライブラリー ○橋本 雄太(京都大学大学院) 近年のスマートフォンとタブレットデバイスの急速な普及にともなって、デジタルアーカイブの資料を これらのモバイルデバイス上で閲覧するための情報環境を望む声が多くなっている。発表者は、国立国会 図書館の運営する「近代デジタルライブラリー」の公開資料をiOS/Androidデバイス 上で閲覧するための モバイルアプリケーション「近デジリーダー」を開発、公開している。本発表では、「近デジリーダー」 の開発と公開の過程で得ら れた知見を報告する。 (12)「翻デジ」とNDL ○永崎 研宣(人文情報学研究所) 翻デジ2014は、国立国会図書館で公開されているパブリックドメインのデジタル化資料、とりわけ、近代 デジタルライブラリーの資料の翻刻を目指 しつつ、翻刻クラウドソーシングの在り方を提示するために開 始されたプロジェクトであり、日本デジタル・ヒューマニティーズ学会のSIGの活動の 一環である。本発表 では、2014年に開始された経緯と、若干の技術的な背景について触れた後、2015年版に向けた方向性につい て報告したい。 (13)クラウドソーシングってどうですか?Crowd4U×NDLデータの事例 ○森嶋 厚行(筑波大学) ・川島 隆徳(国立国会図書館) ・原田 隆史(同志社大学) ・宇陀 則彦(筑波大学) 近年,クラウドソーシングは問題解決の新しいアプローチとして注目を集めている. 本講演では,クラウ ドソーシングの応用事例として,クラウドソーシングプラットフォームCrowd4Uを用いたNDLデータ利用プロ ジェクトについて説明する. Crowd4Uは,非営利・公益・学術目的のクラウドソーシングプラットフォーム であり, 公益と学術のタスクが稼働している.Crowd4Uは大学によって開発が行われており, プロジェクト の要望に応じて様々な機能追加が日々行われている. L-Crowdプロジェクトは,Crowd4U上でNDLデータを用 いて行われているプロジェクトの 一つであり,ISBNによる書誌誤同定の判定をマイクロタスクで行おうと いうものである. 本講演では,本事例の紹介を通じて,クラウドソーシングを利用した公益・学術 プロ ジェクトの可能性を議論したい.
懇親会†場所: 予算は5000円程度で、学生割引を予定しております。 お問い合わせ先†亀田 尭宙 kameda■cias.kyoto-u.ac.jp(@を■に変更しています ) |